鮭スペアレ版『マクベス』2018

ウィリアム・シェイクスピア

坪内逍遥

構成・演出

中込遊里

音楽

五十部裕明

コンセプト

「マクベス」といえば、「綺麗は汚い、汚いは綺麗」という文句と、それを言う三人の魔女たちが有名な、世界的に著名な劇作家・ウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇のひとつである。

「キレイ・キタナイ」という相反するものがイコールとされているところが謎めいていて面白い。この矛盾を、我々はどのように受け止めればよいのだろうか。

考えてみれば、この世界は矛盾だらけである。平和を望みながらも戦争は起こる。社会を良くしようと働く政治家は嘘をつく。本当は大好きな人についそっぽを向いちゃう。痩せたいと望みながらお菓子食べちゃう。など、キリがない。

シェイクスピア作品には、相反するものの衝突と融和が描かれている。そのことが、シェイクスピアが国を越え歴史を越え400年あまりも受け継がれている理由のひとつであろうと思う。いつの時代もどこの国でも、人間社会は、相反する矛盾するものの集合体だからだ。だから異なる文化が生まれ、それを認め合えない者たちが戦争を起こす。シェイクスピアが描いた戦乱は現代も繰り返される。

相反するものたちを排除するのではなく、認めあった上で、矛盾を矛盾とわかりながら、今日という一日、明日という未来を一歩一歩生きていくことができたら、どれほど豊かなのだろう、と思う。

だから、鮭スペアレ版「マクベス」での実験は、相反するものの衝突と融和。西洋と日本。古典と現代。音楽と言葉。意味と感覚。喧騒と静謐。「綺麗は汚い」登場人物たちの狂宴の末に何が残り何が廃れていくのだろうか。

中込遊里(横浜公演当日パンフレットより)

【横浜公演】国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2019 TPAMフリンジ 参加

上演日時

2019年2月9日~10日 全4回公演(公開ゲネプロ含む。上演時間 70分)

会場

岩崎博物館 ゲーテ座ホール

出演

マクベス:清水いつ鹿
マクベス夫人:宮川麻理子
バンクヲー・ウタイ:喜田ゆかり
フリーアンス・妖の1・ウタイ:相沢葵(Theatre Ort)
ダンカン王・マルコム・ウタイ:若尾颯太
マクダッフ・刺客1・ウタイ:上埜すみれ
ロッス・刺客2・妖の2・ウタイ:青田夏海
アンガス・刺客3・妖の3・ウタイ:箕浦妃紗
魔女ヘカチー・ウタイ:中込遊里

演奏

バイオリン:中條日菜子
尺八:酒井将義
ハープ:横濱りい子
馬頭琴:フルハシユミコ
電子楽器・他:五十部裕明

スタッフ

振付:片ひとみ
ドラマトゥルク:宮川麻理子
美術:北山聖子・樋口真惟子
衣装:清水いつ鹿・箕浦妃紗
照明:植村真
舞台監督:林周一(風煉ダンス)
宣伝美術:有布
写真撮影:木村護
制作:鮭スペアレ制作部・田村いろは

スペシャルサンクス

ALi(anttkc)
大村みちる
藤原薫
佐藤慈成
荻山恭規
砂川曜平

たちかわ創造舎
風煉ダンス

【東京公演】

上演日時

2018年12月14日~17日 全7回公演(公開ゲネプロ含・上演時間 70分)

会場

北千住BUoY

出演

マクベス:清水いつ鹿
マクベス夫人:宮川麻理子
バンクヲー・ウタイ:喜田ゆかり
ダンカン王・マルコム:若尾颯太
マクダッフ・刺客1・妖の1・ウタイ:上埜すみれ
ロッス・刺客2・妖の2・ウタイ:青田夏海
アンガス・刺客3・妖の3・ウタイ:箕浦妃紗
魔女ヘカチー・ウタイ:中込遊里

演奏

バイオリン:中條日菜子
尺八:酒井将義
ハープ:横濱りい子
馬頭琴:フルハシユミコ

スタッフ

振付:片ひとみ
ドラマトゥルク:宮川麻理子
美術:北山聖子・樋口真惟子
衣装:清水いつ鹿・箕浦妃紗
照明:植村真
舞台監督:林周一(風煉ダンス)
宣伝美術:有布 
写真撮影:木村護
制作:鮭スペアレ制作部・田村いろは

スペシャルサンクス

藤原薫
佐藤慈成
荻山恭規

掲載情報

井上優「二〇一八年末に古い日本のシェイクスピアを楽しむ益田太郎冠者作『新オセロ』と坪内逍遥訳『マクベス』」『シアターアーツ 63』2019春、AICT(国際演劇評論家協会)日本センター/シアターアーツ編集部、2019、pp. 76-83


Cindy Sibilsky and Shin Kurokawa, ‘Land of the Rising Stage: Rooted in tradition while branching into the future, Japanese theatre is making new converts, at home and abroad’, Americna Theatre, April 22, 2019.