『ハムレット』東京公演

鮭スペアレ

作/ウィリアム・シェイクスピア 訳/坪内逍遥
構成・演出/中込遊里 音楽/五十部裕明

撮影:木村護

演出の言葉

「ハムレット」は、世界で最も上演されている古典作品である。シェイクスピア作品の中でも風変りで謎めいていることでも有名である。

鮭スペアレ「ハムレット」は今年6月24日に山梨県小菅村の神社境内舞台にて初演を打った。一昨年の「ロミオとヂュリエット」から産休を経ての復帰公演である。出産を経た身体と脳を追い込むために、演出を務めながら王子ハムレットを演じることにした。

世にも喋らないハムレットと、世にも冷徹なオフィーリアが死に向かって眩暈を起こす。ハムレットはその最期に、何を思っただろうか。運命を恨み、憂い、鬼の形相で果てたろうか。それとも、やるせなき浮世を心得て達観したろうか。ハムレットにとって復讐とは何者だったのだろうか。

ハムレットを演じようとすればするほど、私の身体は空っぽになって“何者にもなれない”役者の滑稽を嘲笑う。それはそのまま“何者にもなれなかった”ハムレットの悲劇なのだ。そう信じられる重たい瞬間を演じながら何度か迎えた。それは冷たい愉悦だった。

(中込遊里)

公演情報

日時

2017年10月31日(火)~11月5日(日)(公開ゲネプロ含め全10ステージ)

場所

ザムザ阿佐谷

構成・演出

中込遊里

音楽

五十部裕明

出演

ハムレット/中込遊里
ホレーショー/清水いつ鹿
オフィリヤ/宮川麻理子
クローディヤス/水上亜弓
ガーツルード/上埜すみれ
ポローニヤス・レヤーチーズ/鈴木陽代
旅役者/林周一(風煉ダンス)・塚田次実

Violin/中條日菜子
Bass/村木充
尺八/酒井将義
Percussion/五十部裕明

スタッフ

振付指導/片ひとみ
ドラマトゥルク/宮川麻理子
演出助手/酒井美帆
美術/北山聖子・樋口真惟子
衣装/服部瑠美・清水いつ鹿
照明/南香織
宣伝美術/有布・内野しん
記録撮影/木村護
舞台監督/林周一(風煉ダンス)
制作/鮭スペアレ制作部

クレジット

主催/鮭スペアレ
助成/アサヒグループ芸術文化財団
協力/たちかわ創造舎