2019TPAMフリンジ参加作品『鮭スペアレ版・マクベス』横浜公演

鮭スペアレ

作/ウィリアム・シェイクスピア 訳/坪内逍遥
構成・演出/中込遊里 音楽/五十部裕明

撮影:木村護

「マクベス」といえば、「綺麗は汚い、汚いは綺麗」という文句と、それを言う三人の魔女たちが有名な、世界的に著名な劇作家・ウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇のひとつである。

「キレイ・キタナイ」という相反するものがイコールとされているところが謎めいていて面白い。この矛盾を、我々はどのように受け止めればよいのだろうか。

考えてみれば、この世界は矛盾だらけである。平和を望みながらも戦争は起こる。社会を良くしようと働く政治家は嘘をつく。本当は大好きな人についそっぽを向いちゃう。痩せたいと望みながらお菓子食べちゃう。など、キリがない。

シェイクスピア作品には、相反するものの衝突と融和が描かれている。そのことが、シェイクスピアが国を越え歴史を越え400年あまりも受け継がれている理由のひとつであろうと思う。いつの時代もどこの国でも、人間社会は、相反する矛盾するものの集合体だからだ。だから異なる文化が生まれ、それを認め合えない者たちが戦争を起こす。シェイクスピアが描いた戦乱は現代も繰り返される。

相反するものたちを排除するのではなく、認めあった上で、矛盾を矛盾とわかりながら、今日という一日、明日という未来を一歩一歩生きていくことができたら、どれほど豊かなのだろう、と思う。

だから、鮭スペアレ版「マクベス」での実験は、相反するものの衝突と融和。西洋と日本。古典と現代。音楽と言葉。意味と感覚。喧騒と静謐。「綺麗は汚い」登場人物たちの狂宴の末に何が残り何が廃れていくのだろうか。

(演出・中込遊里)

公演情報

日時

2018年2月9日(土)19:00(公開ゲネプロ)・10日(日)11:00/15:00/18:00

場所

岩崎博物館・山手ゲーテ座

構成・演出

中込遊里

音楽

五十部裕明

出演

マクベス/ 清水いつ鹿
マクベス夫人/ 宮川麻理子
バンクヲー・ウタイ/ 喜田ゆかり
フリーアンス・妖の1・ウタイ/ 相沢葵(Theatre Ort)
ダンカン王・マルコム・ウタイ/ 若尾颯太
マクダッフ・刺客1・ウタイ/ 上埜すみれ
ロッス・刺客2・妖の2・ウタイ/ 青田夏海
アンガス・刺客3・妖の3・ウタイ/ 箕浦妃紗
魔女ヘカチー・ウタイ/ 中込遊里

尺八/ 酒井将義
ハープ/ 横濱りい子
馬頭琴/ フルハシユミコ
電子楽器・他/ 五十部裕明

スタッフ

振付/ 片ひとみ
ドラマトゥルク/ 宮川麻理子
美術/ 北山聖子・樋口真惟子
衣装/ 清水いつ鹿・箕浦妃紗
照明/ 植村真
舞台監督/ 林周一(風煉ダンス)
宣伝美術 /有布
写真撮影/ 木村護
制作/ 鮭スペアレ制作部・田村いろは

クレジット

主催/鮭スペアレ(TPAM in横浜2019フリンジ参加作品)
協力/たちかわ創造舎・風煉ダンス

中込遊里の日記ナントカ第98回「平成最後のマクベス大会/演出担当と劇団主宰との戦い」

→ コチラよりお読みください