「空気を動かす、空気で動かす演劇ワークショップ」~ TSP2020 5月GW③

TSP活動記録

皆さんこんにちは! 広報担当の葵です。

お待たせいたしました!

今日は、2020GWワークショップの3日目、
5月5日の様子をお届けします。

3日目は、中学1年生から大学生まで、27人が参加してくれました!
(大学生は中学生・高校生のサポートとして入ってもらっています。)
(5月3日の様子はこちら)
(5月4日の様子はこちら)

【5月5日 ~ メニュー ~ 】
・「空気を動かす、空気で動かす演劇ワークショップ」by福原冠(範宙遊泳/さんぴん)
・シェイクスピア作品をやってみちゃおう!(グループワーク)

今回のワークショップ前半を担当するのは、
範宙遊泳と、さんぴんという団体に所属する俳優、
福原冠(ふくはらかん)さんです!

詳しくはこちらのリンク先もご覧ください◎

これまでも複数のゲスト講師をお招きしてきましたが、
今年のGWには福原さん(以下、カンちゃん)をお招きしました~。

それでは、カンちゃんのワークショップ、いってみよう!!

まずは、持前の物腰の柔らかさで、みんなの気持ちをほぐすカンちゃん。

「楽しんでやりましょ~!」(カンちゃん)

立てる人は立って、座ってる人はそのままで、
みんなで一緒に身体を動かし、ウォーミングアップ◎

少しずつ身体を動かしながら、
部屋の中に何があるか、見つめてみます。
目に入ったものを声に出します。

「イスがあるなぁ。・・・窓があるなぁ」(カンちゃん)

(・・・机があるなぁ。天井があるなぁ・・・)←葵の心の声

そして、それに触れてみたり、
手を伸ばしてみたり、足でさわろうとしてみたり
します。

部屋の中をしっかり見つめたら、
今度は自分の身体を意識します。

段々動きを大きくして、身体をシェイク!

手足をブラブラ動かす範囲を大きくしながら、
自分の身体にふれてみる。

身体を目で見て、
手でさわりながら動かしてみると、
いつもより、自分の身体をしっかり感じられる気がします◎

「良いね~。みんな身体あったまったかな?」(カンちゃん)

はい!カンちゃん!あたたまりましたっ!!

「OK!
 さて、今日は、みんなに聞いてみたいことがあります。
 みなさんにとって、 ”良い演劇” って、なんでしょうか?
 ・・・ ”良い役者” 、 ”良い演技” って、なんでしょうか?」(カンちゃん)

みんな、どんな考えを持ってるんだろう?
私たち大人も、興味津々です。

「伝えたいテーマを、お客さんに伝えられるもの」(HJさん)

「おお、それは凄く良いことだよね」(カンちゃん)

「自分たちだけで楽しむんじゃなく、それがお客さんにとっても楽しいものであること」(HRさん)

「うーん!この視点は大事ですよぉ~!」(カンちゃん)

人の数だけ、 ”良い演劇” の答えがある。
何に一番心が惹かれるかは、人それぞれだよね。

「OK!
 自分にとっての ”良い演劇” ってなにか、
 頭の隅っこでちょっと考えながら、先に進んでみましょう。
 次は、画面越しに、一緒に窓ふきしよう!」(カンちゃん)

OK、カンちゃん!


画面越しに、カンちゃんの手と自分の手を合わせて、
一緒に窓ふきして、
カンちゃんの身体のマネをしてみます。

「今度はペアをつくってやってみよう。
 相手の人と一緒に窓ふきして、
 手でつくったハートを投げてプレゼントしてあげる。
 ハートが飛んできたら、相手の人はそれをキャッチする」(カンちゃん

OK、カンちゃん! ビデオオンの人たちでやってみます!

(誰と誰がペアか、わかるかな・・・?)

「おおー、いいね!愛がでかい!笑
 人によって、全然愛の表現って違うんだね。
 でも、ぜんぶ良いよね」(カンちゃん)

身体を意識するメニューからガラリと変わって、
今度は、10カウントゲーム!

ルールは、数字を言うときに人と被らないこと。

集中して、タイミングをはかって、
「ここだ!」と思うところで言ってみる!

失敗が続くと、
すかさず、カンちゃんからアドバイスです。

「・・・どうしたら被らないで、最後までいけると思う?
 なんとなくでやらないで、
 どうしたらやりきれるか、改めて考えて、やってみて?」(カンちゃん)

「・・・1・・・、」

おぉ、みんなの声が変わった。
ピンと張りつめて、
研ぎ澄まされた雰囲気の声に変わりました。

「じゃあ、ここで最初の質問をもう1回するね。
 みんなにとっての ”良い演劇” ってなんですか?
 ”良い演技” 、 ”良い役者” って、なんですか?」(カンちゃん)

「観客と舞台が、一帯になってるもの。
 役者の感覚がお客さんに伝わるものが、良い演劇じゃないかなあって」(Nさん)

「演じる人が、観ている人をその世界に引き込むことが出来る。
 そういう人が良い役者じゃないかなって思う」(Mさん)

素敵な感覚。

自分の身体や感覚を、みんなと一緒に使ってみたら、
最初の質問が、考えやすくなったみたいです。

カンちゃん流の考えはこんな感じ。

「僕は、 ”空気がある” 演劇が、良い演劇だと思ってる。

 数字を言い合うのにもみんな一斉に黙ったり、
 数字が続く瞬間があったり。
 みんな、 ”かけひき” してたんだと思うんだよね。

  ”かけひき” って、 ”空気の引っ張りあい” なんだと思う。 

 その空気を動かすことができる人。
 空気を相手に手渡したり、
 逆に空気を感じて受け取ることのできる人が、良い俳優なんだと、僕は思う」(カンちゃん)

(みんなでツボ押し休憩…)

よし! それではリフレッシュできたところで後半戦だ!!

今までやって来た ”空気の引っ張りあい” を、
言葉でやってみます!

「みんなの、ちょっとしたポジティブなエピソード、教えてください!」(カンちゃん)

「今日のお昼、自分の部屋のベランダでバーベキューしました」(MSさん)

「最近ハマってる飲み物があって、
 その賞品の抽選で当たるプレゼントに応募したら当選して、
 ちょうど今朝、うちにその賞品が届きました!」(Rさん)

「おお~、良いね!今のエピソード聞いてた?」(カンちゃん)

「あ、めちゃめちゃ聞いてました」(MKさん)

「今のRさんのエピソードに1つだけ嘘を混ぜて、
 みんなにバレないように、って思いながら、
 自分のこととして、話してもらってもいい?」(カンちゃん)

1つだけ嘘のまじったエピソード。
聞いてると、
もう ”物語” みたいな感じがちょっとしました。

納得できるリアルな感じと、
驚けるポイントがあって、
聞いてるだけで楽しい◎

(みんなの挑戦に笑顔の、サポートで入ってくれている大学生の若尾さん&葵)

「今してくれた話を信じられるってことは、
 信じられるだけの ”エネルギー” と ”イメージ” があったってことだと思うんだ。

 身振り手振りが増えてるのも、
 嘘がバレないようにっていう必死さかもしれないけど、
 それが、話を届けようっていう ”エネルギー” に変化してる。
 
 だから、僕たちは話を受け止められるんだと思う」(カンちゃん)

(とある日、本番前、楽屋でのカンちゃん)

だれかの本当のエピソードに、
少しずつ嘘を足して、
信じられる物語をみんなで創っていく。

いいねいいね~!面白くなってきたぞ~!!

みんなで、もっともっと発展させます!

「いま、2035年ってことにしてやってみよう!」(カンちゃん)

こちらの2人に、40代の夫婦役をお願い◎

Rさんのエピソードを ”夫の昔の出来事” ということにして、
夫婦の夕食での団らん、スタート。

え、演じている人が高校生とは思えぬくらい、

しみじみ、穏やかな大人シーン・・・!なんだかみんな名優・・・!

さて、次の2人に交代です◎

今度の場面はお葬式。

Rさんのエピソードを ”姪のお家のエピソード” ということにして、
叔父から姪が大きな秘密を聞き出そうというチャレンジ。

さっきの2人とは打って変わって、
とてもシリアスなシーンになりました。

なるほど~。カンちゃん、わかったぞ。

良い雰囲気で話しているのか、
悪い雰囲気で話しているのか、
相手にどんな気持ちを持っていて、
相手をどうしたいのか・・・。

そういうことで、同じエピソードを話しても、
話しぶりが全く変わる
ってことだね。

「シェイクスピアみたいに、時代や国が全く異なる人が書いた脚本でも、
 こういうことって一緒なんだよ。同じ人間だからね。 

 さて、 ”空気を引っ張りあう” 演技ってどういうことだろう?

 僕は、演技って、2つの柱で成り立ってると思う。
 1つは記憶力。または経験。
 どんな演劇でも、創る人の経験からスタートする。

 そこに、もう1つの大切なもの=想像力を掛け合わせて、
  ”誰かを傷つけない物語” にしていく。

 どれだけ遠くの世界にお客さんが行けるかは、
 この2つに、創る人たちがどれだけ一生懸命になれるかにかかってる。

 誰かがついた ”優しい嘘” に、
 記憶力と想像力を掛けあわせて創るのが、演劇。
 僕はそう思ってます」(カンちゃん)

photo by bozzo

(ある日、舞台本番終わりのカンちゃん。photo by bozzo)

あっという間の1時間30分。
最後に、その記憶力と想像力を使って、リレーをしました!

前の人が言ったことに賛成して、
どんどん前向きに話を膨らませながら、
順番に話をつないでいきます。

「ねえ、コロナおわったら、みんなで演劇しようよ!」(カンちゃん)

いいね、じゃあ4時間ものやろうよ!
いいね、100人くらい集めてやろうよ!
いいね、もう町中のみんな出しちゃおうよ!
いいね、いっそ地球に居る人みんな出しちゃおうよ!
いいね、だったら世界規模のステージ創っちゃおうよ!
いいね、本番は大空の下でやろうよ!
いいね、演劇のついでにプラネタリウムも一緒につくっちゃお!
いいね、それなら宇宙に向けても発信しようよ!
いいね、そのためにたくさん技術者集めようよ!
いいね、世界中の天文学者も集めなきゃ!
いいね、ねえせっかくだから、プラネタリウムでプロポーズもしちゃお!
いいね、そしたら結婚式もそこであげちゃお!
いいね、じゃあ、舞台美術で建てた家、そのまま2人にプレゼントしちゃお!
いいね、そしたらそこで幸せに暮らそう~♫

(ビデオオンの人たちでリレーしてみました!)

「一緒にやる」ことを、みんながとても楽しんでくれているような感じがしました。
とても嬉しかったです。

みんなの感受性や演劇の可能性を、
まっすぐ信じて過ごせた時間だったなと思います。

ワークショップが終わる前に、
たちかわシェイクスピアプロジェクト代表の中込からも、
みんなにお話ししました。

「今日のカンちゃんのコーナー、とっても共感しました。
  “記憶力” と “想像力” を養うには、どうしたら良いんだろう?
 私は、 “観察” が必要なんだと思う。
 
  “観察” すればするほど、身近な人や物、場所をしっかり記憶できる。
 そしてそこに、 “想像力” を乗っけて、演劇にしていくんだろうなって思う。
 
 だから、今しかないこの状況のことさえも、よく “観察” したら、
 これからに生かしていけるんじゃないかなって思う」(中込)

さて、次回はいよいよGW最終日!
成果発表のレポートです!

3チームとも、どんな発表になるんでしょうか?
お楽しみに~♪


(広報:葵)