『ロミオとヂュリエット』ファイナル東京公演

作/ウイリアム・シェイクスピア 訳/坪内逍遥
構成・演出/中込遊里 音楽/五十部裕明

しつこさと無鉄砲さを大事に思う。

劇団10周年の節目に私たちが選んだのは、劇団の名前の由来でもあるシェイクスピア作品に初めて取り組むことと、それをしぶとく育て上げることだった。演劇は空間と時間を旅して留まることはない。衝動とご縁に任せて無鉄砲な旅を続けた。飛び込みで行った村の神社の野外上演、アートスペース、公共のホールまで、空間は無限。そこに在る方々との出会いは財産。演劇と共に動く時私たちはどこまでも自由である。

ところで、10年続けて、初代劇団員たちは30歳になった。20代というものはつくづく上滑りで切なかった。めでたいことも風の如く過ぎ去り噛みしめる間もない。ああまだ30歳か、と思う。といいながらも少しづつ軽やかな気分は増えてきた。時を重ねるというのはめでたいものだ。

30歳から40歳までの10年間を予感するだに、「堪える」心構えを作っておく。20代では現実を無視して突き進む。現実を理解できるほどに冷静であるのが30代なのかと予想する。周りが見え始めれば、堪えねばやっていかれぬことの方が多かろう。

堪える中に強靭な本物の強さが生れるのが、30代の理想である。とはいえ、たかが10年で、強さを確保できるようなかんたんなことではつまらぬだろう。素朴に言えば、未来のことはわからない。わからないから面白いのだし、何も知らぬからこそ進んでいける。

だから、「今のところ」としか言えぬのだが、私はこの先も芝居を続けるし、芝居を続けたことによって出会う豊かでギクリとするような何ものかに一喜一憂するのである。ただそれを楽しみに、今日も芝居をする。

2015.10 中込遊里

公演情報

上演日時

2015年10月20(火)〜25日(土)

構成・演出

中込遊里

音楽

五十部裕明

キャスト

ヂュリエット/清水いつ鹿

ロミオ※ダブルキャスト/林みなみ・望月紗穂

マイ※ダブルキャスト/石和田尚子(・片ひとみ(catatsu)

ウタイ/花村雅子(えうれか)・水上亜弓・中込遊里

人形/田中ゆかり(プリズマン)・高瀬弥生

 

ヴァイオリン/寺田彩乃・中條日菜子

ヴィオラ/久保山有造・岩永昇三

コントラバス/上野太郎・村木充

パーカッション他/五十部裕明

スタッフ

演出助手/角智恵子・酒井美帆

ドラマトゥルク/宮川麻理子

照明/太田奈緒未

美術/北山聖子・樋口真惟子

衣装/服部瑠美

宣伝美術/有布

撮影/木村護

制作/大村みちる・田村いろは

場所

ザムザ阿佐谷