第1回公演『初のノワ』

ことばを信じる?ではからだは?どこまで信じる?これは何?どうするもの?あれの意味は?何のため?

わたし達の頭に浮かんだたくさんのクエスチョン・マークを細い金色の網で絡め取って、

劇場の中に閉じ込めて人質にしましょう。
わたしとあなたは共犯者、劇場の扉を固く閉め、彼らに悪戯を仕掛けます。

疑問符のアイデンティティをぶち壊す!何事も追究するのをやめなさい!

わたし達がそう叫ぶと、自分自身が何なのかも「?」になってしまったクエスチョン・マーク達の悲鳴が劇場の壁を震わせ、わたし達のからだに伝わって、彼らも劇場もわたしとあなたも一緒になって震え出す。
それが楽しくて楽しくて。

これはモハヤ、最高級の遊び。まるっきり無駄で非日常の、秘密のパーティー。


2005年10月、日本大学芸術学部在学中の中込遊里と有布によって<鮭スペアレ>旗揚げ。

慶応義塾大学文学部在学中の宮川麻理子を加え、「演劇とは贅沢な遊び、秘密のパーティー」を

モットーに上演した旗揚げ公演『初(ウイ)のノワ』。

演劇組織「夜の樹」の古口圭介を客演に迎え、モットーである「遊び」「パーティー」を主題として、

「何故私たちが演劇をやるか」をそのまま作品にしようと試みたある意味では鮭スペアレの紹介のような公演であった。

『ウイノノワ』は旧英語“We know not what”を縮めたモノで、「なんとも言いようがない」という意味である。

入場無料、客席も舞台も同一照明、同一空間であり、客席は舞台を四方から囲み、

俳優は正方形の舞台と客席の間の4本の通路で演じた。

セーラー服の少女、その頼れないお兄ちゃんである占い師、男好きのする孤独な少女が世間からはぐれてしまっている自分たちを見つめあったり反省したりしながらお互いの関係を結び、ある女によって“遊び”に巻き込まれる。

寺山修司作の寓話『壜の中の鳥』と梁塵秘抄の一歌「遊びをせんとや生まれけむ」をコラージュしながら歌い踊り、全ては一時の夢として観客の前から姿を消し、観客はお互い向かい合わせになったまま取り残される。

作・演出

中込遊里

日時

2006年2月18日~2月19日 全3回公演

会場

STスポット

出演

宮川麻理子

中込遊里

有布

古口圭介(演劇組織「夜の樹」)

スタッフ

照明:佐藤宗太

宣伝美術:有布